なんだか大声で言ってしまった自分が恥ずかしくなって、私は「ごめんね」と小さく呟いた。
「ふ、はっ、作間って、おもしろいね。」
「……へ?」
頭上で聞こえたのは、天祢くんの笑い声。私はゆっくりと顔を上げた。
見えたのは、笑顔の天祢くん。胸が、ギュッと捕まれたような感覚に陥った。
「っ、あ、天祢くんが笑ってるの、初めて見た!」
「あ、そう?」
いつも無表情で、ひとりで座っていた天祢くんは、まるで別世界の人みたいだったから。
だから、そんな彼が笑ったのを見て、すごく人間らしいな、って思った。
「天祢くん、笑ったほうが綺麗だよ!」
「え?」
「普通にしてても、充分綺麗だけど、笑ってたほうがもっと綺麗!」
あはは、と笑いながら言って、私はハッとした。
綺麗綺麗連呼して、なんだか恥ずかしくなった。今更、って感じだけど。
「っ、あ!ご、ごめんねっ!変なこと言って!」
「え、変なの?今の、褒め言葉じゃなくて?」
うっすら柔らかな笑みを浮かべたまま、天祢くんはそう言って首を傾げる。
「っほ、褒めてる!」
慌ててそう言った私を見て、彼は眉を八の字にして笑った。
「ありがと、やっぱ作間っておもしろいね。」
