加瀬くんは、クラスの人気者なのに、よく私に話し掛けてくれる。
そんなところも人気がある秘訣なんだろうか。


「……うーん」

「作間?なにしてんの」

「う、うーん。あのね、天使って風邪ひくと思う?」


日誌を手にしたままそう言った私を見て、彼は不思議そうに首を傾げた。


「風邪かあ…、ひくのかね?」

「ひいたらさ、人間の薬飲むのかなあ。」

「んー、薬局で聞いてみたら?」


やっぱり加瀬くんは優しい。ちゃんと話を聞いてくれたもん。
さすがクラスの人気者!


「徹哉っ!イチャついてないでこっち来いよ!」

「いっ、イチャついてねーよ!じゃあな、作間」


クラスの男子にからかわれて真っ赤になった加瀬くんは、私に手を振って行ってしまった。

天祢くんは、相変わらず寝ているみたいだった。
やっぱり、風邪ひいたのかも。
帰りに、薬局に寄ってみようかな。


「……聞いてみよ。」


天使も、風邪薬が飲めるのか。天祢くんに聞くのが一番早い。

ガタン、と立ち上がり、私は天祢くんの席へ向かった。


「あ、天祢くんっ!」

「……ん~、ん?」


モゾモゾ動きながら、天祢くんはゆっくり起き上がった。


「……作間?」

「うん、作間。…じゃなくてっ、天使って風邪薬飲む?」

「……風邪薬?」