「…――お客さん。着きましたよ。」 「…あ。ありがとうございました」 あたしは運転手さんにお金を払ってタクシーから降りた。 家の門の前まで行くと何も言わなくても開き、門のすぐそこでは家の執事が車を止めて待っていた。 あたしの家は門のところから玄関まで車でおよそ10分。 いつもは何も感じない距離だけど、このときだけはとても長く感じた。 それに、この10分でお母様がもし…… そんなことまで考えてしまう………