「ほら。多分彼女からの電話だよ。 先週も、女の人から電話かかって来てすぐ出ていったもん。 会話もなんか親しげだったし。」 あたしは目を伏せて言う。 「そうなのよねぇ。彼女いるのよねぇ。謎はそこよ。」 さっちゃんは苦いものでも食べたのかと思うくらい険しい顔をしている。 あたしにとっては、翔くんに彼女がいるということは謎でもなんでもなくて、ただの事実だ。