その着信音が部屋に鳴り響くと、一瞬で先週の光景が頭に広がる。






電話が終わって、すぐにあたしの元から離れていった翔くん。






今日もその電話を取ったらすぐに出ていくの?






嫌だよ。行かないで。






「電話だ。亜衣ちょっとごめんな。」






電話を耳に当てた翔くんに、小さな声で「リビング行くね」と言い、静かに部屋を出た。





現実を見なくていいように、傷つかなくていいように。