莉緒ちゃんが指差したのはさっきから俺が立ってた所の目の前にある家だった。
偶然?……運命?
俺ってずごいわ。
「帰るぞ」
「えっ!?」
結月…莉緒ちゃんの家を目の前にして「帰るぞ」はないんじゃねぇ??
「もう少し会話しよ…ぅ…」
「送って下さってありがとうございました。」
えぇぇぇーっ!!
莉緒ちゃんまで…
つまんねぇ…
「じゃ。」
仕方ねぇ…
「じゃあねぇ〜」
「はい、また明日です。」
俺らに可愛い笑顔で手を振る莉緒ちゃんになんだか俺は違和感を感じた…
変ってわけじゃないけどやっぱりいつもの笑顔とはまた別な笑顔な気がする。
いつもより……
嬉しそう。
俺にはそう見えた。
今になってやっと気づいた……なんか複雑かも。
なんで俺はこいつと好きなコがかぶったのかなぁ…?
今まで1度もなかったのに…
俺はすぐ横を歩く結月を見た。
「……」
「なんだよ。」
「別にぃー」
「……?」
優しさの欠片もなさそうな見た目してるくせして…何気に人のこと考えてんのかもな…こいつ。
特に……莉緒ちゃんのこと。
「今回は俺の負けかなぁ…」
「……はっ?何が?」
「なんでもねぇよ。」
「変な奴だな…お前は…」
……それなのか?
たまに見せるその人を軽く馬鹿にしたような表情に惹かれるのか?
あの顔が緩んだ時…その一瞬の出来事で結月を好きになるのか?
男の俺には一生わからないことかもな…


