「おっさんに何か言われた?」

「いえ…そういうわけでは…」

「言われたんだろ?」

王子が私の背中をさすってくれた
そして額にキスをする

「何も知らないヤツの言葉なんか
気にするな
莉緒の心は俺が知ってる
あいつは何も知らないから適当なことを言えるんだ
大丈夫、俺が傍にいるから」

泣きじゃくる私を優しく抱きしめてくれた

海外に仕事に行くんだから、傍にいれないのに

王子は強気なことを平気で言う

その強さが、私には羨ましいのかしれない

「莉緒、オッサンのとこに行く前に、着替えろよ」

「え?」

「服が濡れたから、下着が見える」

「ええ?」

私は王子から離れると服を確認した

シャワーで体を洗ったばかりの王子が抱きついてきたから、私の服はすっかり濡れていた

「着替えなんてありません」

「んじゃ、俺のシャツを貸してやるから
上から羽織っておけ!」

「んもうっ!」

「莉緒の腹の傷は俺以外に見せるなよ」

王子は私の耳元で囁くと、風呂場のドア開けた

え?

「莉緒は俺のタオルだな」

王子はニコニコ笑顔でそう言うと、寝室のほうへと歩いて行った