私はママと百瀬さんが市役所で婚姻届を出すのを見届けた

ママも百瀬さんもお互いに再婚同士で、二人で生活するのはもう少し先にするみたい

別にママが、百瀬さんのマンションに身一つで嫁いじゃえばいいのに

ママも百瀬さんも私のことを気にして…少し遠慮しているみたいだった

私は二人に近づくと、笑顔を見せた

「おめでとう」

「ありがとう」

ママが嬉しそうに微笑んだ

「私、会社の近くのアパートを見つけるよ」

「え? でも……」

「今の部署が大変なの
だから、できれば通勤が楽なところに行きたいって思ってたんだ」

ママと百瀬さんが顔を見合わせた

「だから二人は、二人の生活をして欲しい
絶対に幸せになってね」

「莉緒……」

ママの目が涙ぐんだ

「私も幸せになる!」

私は強く頷いた

「莉緒、それって……」

「ごめんね、ママ
やっぱり私は諦められない
好きな気持ちが消えないの」

ママが私の肩を抱いた

「ママも応援してる」

「ありがとう」

私は鞄を肩にかけた

「それじゃ、仕事に戻るね」