外に出ると救急車が停まっていた

担架には桜稀さんがぐったりと横たわっていた

意識はもうないみたい
点滴を打っていた

桜稀さんの横には170センチ弱のスーツの男性が、桜稀さんの手を握りながら見守っていた

「山崎、姉貴をよろしく」

「はい」

山崎と呼ばれたスーツの男が顔をあげると返事をした

「お姉さんの傍にいなくて……」

「ああ、いいんだ
あの人がこれからずっと姉貴を守るよ
今まで、ずっと傍にいて守ってたから

それに俺がいないほうが姉貴にはいいんだ
俺を見る姉貴の目はずっと罪悪感があるから」

王子は私の肩を抱いたまま、黒塗りの車に近づいて行った

運転席から新城さんが降りてきた
むすっとした顔のまま、私を睨みつける

黒ぶち眼鏡を押し上げると、後部座席のドアを開けた

「新城、とりあえず病院
社長の知り合いの病院に莉緒を連れていく」

「桜嗣、空港に戻らないと」

「いいからっ!
早く病院だよ」

王子が新城さんに怒鳴った

新城さんはまだ何か言いたそうな顔をして口を閉ざした

私と王子が後部座席に乗ると、新城さんが車を走らせた

都内にある大きな病院

桜嗣の体調が悪くなると、マスコミに知られないようにこの病院に行って
点滴を打ったりしてたって、車の中で教えてくれた

病院につくまで王子はずっと膝枕をして、背中をさすっていてくれた