俺は無意識的に、亜姫を抱きしめていた。

彼女はすっぽりと、俺の腕の中におさまった。


小さくて今にも壊れてしまいそうな体。


「落ち着け、な??落ち着けよ」


亜姫の頭を撫でながら、言う。

彼女の指が、俺のパーカーのすそを握り締めた。



「ねぇ、お願い。

誰にも言わないで。

この事、誰にも言わないで・・・・・」



切願するような、亜姫の声。

その声が、俺の胸をぎゅっと締め付けた。


太陽はいつの間にか傾き、夜が訪れようとしていた。