「あの子のなにがいいのよ?! 顔?!性格?!それとも家柄?! 意味わかんないんだけど?!」 俺は何も言わず、土井を見た。 土井の目は、真っ黒だった。 何も、見えない。 俺の腕を掴んでいる手を、そっと離してやる。 「そんなんじゃねぇよ」 「・・・え??」 「本当に好きになるって、そういうことじゃねぇだろ。 俺は、あいつのどこが好きだなんて聞かれても、答えられない。 でも」