ドルチェ

「あ、明日学校早く終わるでしょ?あいの家行っていい?」


「もちろん!」


美里は小学校の頃から学校の早く終わる日は大抵家に来ていた。


「漣くんも来るかもね」


「あぁぁ…あんま来ないで欲しいんだけどねぇ…」


漣も美里と同じでよく家に来る。いや、毎日来る。
漣と私の家はお隣さんで、2軒の間隔が1Mくらいしか空いていない。
しかも、漣と私の部屋は窓から窓へつたって行ける位置だから、よく侵入してくる。


「んじゃ、またね。あい」


いつの間にか分かれ道に来ていた。私は考え事をすると黙り込むみたいで、美里は私がシンキングタイムに入っているときは絶対に話しかけてこない。
本当に付き合っていきやすい親友だ。


「美里ー朝も一緒に行こうね」


「ちゃーんとメールしてくださいよ?」


「分かってます!」


バイバイと手を振って左の道に進む。美里は右へ。
小学校や中学校の頃は帰るのが嫌で、分かれ道の真ん中で暗くなるまでお喋りを続けてよく怒られていた。今は携帯もあるし、すぐに話が出来る。


「便利だねー」


「何が?」


独り言のつもりなのに返事が返ってきて、驚いて声のした背後を見た。