ドルチェ

この日は、自己紹介の続きと1年間の流をざっくり説明されて午前中で終わりだった。
明日は4時間のLHRをやって終わりだからと先生が言って、解散の声が掛けられるとみんなが一斉に動き出した。


「あいちゃん、下まで一緒に行かない?」


「うん。いいよ。行こっか」


軽い鞄を肩にかけて席を立つ。


「こ…小谷くん。ばいばい!」


汐奈が少し緊張したように笑って漣に手を振る。


「おぉ、ばい」


漣は得意な作り笑いに見えない作り笑いをして手を振り返した。


汐奈は満足そうに私の手を取って小走りに教室を出ると、小さな体で人を掻き分け、階段まで来るとスピードを緩めた。


「やっばい!あたし、やばい!!」