幸せになりたいとは思ってる
けどこの世界で幸せになる事って難しいもので

だってわたしはけして一人で生きていく訳ではないのだから、孤独ではあるけど、その孤独な世界の中でも生まれた瞬間から社会が、家庭が、環境がわたしを取り巻いていくの

だから幸せになる為には、その周りが全て上手く行かなきゃなれないことなんだ


それを知ってしまったのが、中学生になって初めての夏だった




「ただいま……誰もいないの?」


何時もの様に家の扉を開けると、なぜか息苦しさを感じた
不安にかられたわたしは、急いでリビングに足を踏みいれると、そこには母親が一人ソファに座り、ぼんやりと天井を眺めていた。体調でも悪いのかと思い、慌てて母親の傍により、どうしたのと肩を揺らした


「お父さんとお母さん、離婚するの」


肩に乗っていたわたしの手を掴み、母親はぽつりと言った
聞かされた言葉に、わたしはなんでと問い掛ける

母親は目を伏せ、笑った