渡されたピアスをピルケースにしまっていると、男の人は少し照れた顔をして笑った


「……なんかさ、まるでシンデレラみたいだね」

「え、シンデレラですか?」

「うわッ変な事言っちゃったね!けど、まさかまた逢えるとは思わないし、ピアスはガラスの靴みたいな?」


素で返してしまったせいで、男の人は顔を真っ赤にして頭に手をやっている

綺麗な顔で言っている事がメルヘンチックで、なんだか合っているようで合っていない事が笑えた


「じゃあ、王子様は貴方ですか?」

「俺がッ?いや、俺はしがないリーマンだよ。今だって外回りから帰ってる途中だし」


なんだか面白い人だなと思って、今度お礼がしたいのでメアドを教えて下さいと言うと、少し考えてから営業用ではない私用の携帯を出してきて教えてくれた


「じゃあ、連絡しますんでちゃんと返事下さいね」

「あ、あぁ…じゃ……」


その男の人と別れて来た電車に乗り込む

空いた席に座る頃にはもうわたしの顔から笑顔は消えていた

聴いている音楽は、幸せはどこにあるのと問い掛けている、そんな陳腐な音楽



「早くゲームやりたい……」


ラスボスを倒すまでになったゲームはきっと終わったら積んでしまうだろう