「市原沙耶さんって商業科の相澤君と付き合ってるのかな?」
「うちのクラスの市原?」
「うん。その市原さん」
どうやら同じクラスの女の子達のようだ
わたしが相澤君と付き合っている?生憎だがそんなこと身に覚えはないし、相澤君とは誰だろう
そーいえば最近しつこく話し掛けてくる男の人が居たっけな
あ、その男が相澤と言うのかもしれない
「市原さんって確かに綺麗だけど、性格悪そうだよね」
「相澤君絶対騙されてるよ。あの子、この前ホストみたいな男とあるってたし」
話を持ち出した女子は優越感に浸り、聴いていた女子はその話から様様な考察をし始める
貴方はわたしでもないのに、よくそこまで考えられるものだ
貴女には作家の素質があるよと言ってあげたいくらい
第一ホストみたいな男って、それはネット仲間だっつーの
何もしらないクセに、嘘ばかり言って何が楽しいのだろう
あの場所に行った瞬間、わたしは質問攻めか無言の圧力を感じなくてはならないと思うと、めんどくさい
もうノートは置いていく事にしよう
後で彩達にコピーをさせてもらおう
「くだらないなぁ……」
陰口叩くくらいならほっといて欲しい
わたしの事なんかで話をする時間がもったいないじゃないか。嫌な奴の事は声に出したくも無いんじゃないのか
その嫌いな奴を嫌いだと思う自分が嫌いにならないのだろうか
「くだらない、くだらない、全部全部くだらない」
全てに興味がなくなってしまえば、人を気にせず楽に生きられるのに、どうして多くの人は気付かないのだろう