でも。

俺もやっぱ男だった。

女の体に全く興味がなかった俺。


こんな事でなやむのは
とうてい予想していなかった。


今の自分の気持ちを
亮に言うと


「え?
お前が?」

これまた
口がポカーンと
あいている。

「俺だってありえねーって
思ってる…
俺が俺じゃないみたい。」


そう。

俺はさゆの前に立つと
俺じゃなくなる。


さゆは自分が何者か

わかっていないんだ。―――――