「さすが丸善広告さん。とっても綺麗で素敵な方を紹介して下さって」

金子物産の社長が満面の笑顔で言った。

さすがに貫禄があり、いるだけで少し緊張してしまう。

「いやいや、誠一さんも眼がお高い!愛美君はうちの一番の顔ですから!」

部長が汗をハンカチでぬぐいながら、必死で愛美を立てていた。

「一目見て、どうしてもまたお会いしたくて。そしたらこのようにお見合いをセッティングしてくれて。感激です」

お見合いの相手、社長の息子の金子誠一が言った。

「ありがとうございます。私も、お会いできて凄く光栄です」

散々迷ったが、やはり振り袖にした。

気付けが出来なくて、朝から美容院に行き、着付けと髪のセットも予約して行った。

にっこりと、誠一に向かって微笑む。

案の定、誠一の顔は緩んでいる。