「社長、契約取れたんでたまにはおごって下さい!」

「…お前、こういう時だけ社長扱いしやがって…」

そう言いながら、奢ってくれる。

こんな日常が嫌いじゃなかった。

他の社員は結婚していて、早々帰ってしまった。

「藤井さんって私と一つしか年違わないんですよね」

「だから何だよ」

どう見ても30代半ばにしか見えない。

「別に~。藤井さん、結婚とかしないんですか?」

彼が異性に興味持つことがあるのだろうか。

「今はそれどころじゃないよ。会社のことしか考えられない」