「すっかり忘れていさね。」







女将は、呟いた。






「オマエがいることが当たり前になっていた。」








「本当に出て行くのかい?」







凪雛は、女将から目を逸らすことはなかった。







「ここでのわっちの役目は終わりんした。」







女将はため息をついた。







「外へ出て、何をやっていくつもりだ?」







「神納様から、お声をかけていただいています。」







女将は表情を硬くした。






「そうか・・・」