しんしんと深い雪が降る夜だった。








「天秤。」








天秤を静かに呼ぶ声がした。








「風華・・・」








その声に飛び起き、天秤は庭へと出た。









そこに立っていたのは、深紅の打ち掛けを羽織ったなんとも美しき女性。








「風華・・・」








うめくように呟くと、その女性は振り返り、満面の笑みで話しかけた。









「久方ぶりでありんすな。」








腕には、何かの包みを抱えていた。