ニャォ






膝で、喉をゴロゴロ鳴らす黒猫。







「お藤・・・」







あの事件から2カ月が経った。







本当に凪雛達が去ってしまうのなら・・・







残された時間は一週間足らず。







しかし、雪洞はあれから凪雛と話していない。








凪雛は、幾度か雪洞を訪ねるのだが、雪洞は拒絶するのだ。








同じ境遇である、織閖は雪洞を切なそうに見つめるだけだった。








「雪洞。」







白い煙と共に、雪洞を呼ぶ声があった。







凪雛と思い、お藤を抱えその場を立とうとすると、横に座った。







「お、女将さん・・・」