夜見世が始まった暮六つ時。







雪洞と織閖は、並ばなかった。







織閖は雪洞の傍で膝まづいていた。








その瞳からは、大粒の涙が零れ落ちていた。








「ぼ、雪洞ちゃん・・・」







「織閖。」







優しい声が聞こえた。







「氷雨姐さん・・・」







「織閖、おいで。わっちの座敷で一緒に話そう。」








織閖は、氷雨に手をひかれ、雪洞の座敷を出て行った。







雪洞は、何かを堪えているようだった。