「あと短い時・・・よろしくお願いいたんす。」








凪雛はゆっくりと立ち上がった。








そして、座敷から出て行った。







「凪雛花魁、ここを立ち去るおつもりでありんすか?」







少し、幼い声が聞こえた。






「寿・・・」







寿 コトブキ。






振袖新造。






呉葉を姐女郎に持つ。







「わっちのこと、覚えていてくれんしたね。」







「何の用だ。」







「何もありんせん。ただ・・・雪洞さんを蹴落とす好機と思いんした。」








寿は意地悪く笑った。