向かい合わせの恋





「…ねえ、直兄。明日からはさ、…彼女に起こしてもらいなよ。」








言ってすぐ…後悔。



あの日の直兄の首元の赤い跡が…赤い口紅が…ローズの少しきつめの匂いが脳裏によぎる。




やだ…


あたしの直兄なのに…



誰にも渡したくない…





「…っふ、ぅ」



気付けば頬に冷たいものが流れて、しゃがみこんだあたしのワンピースにシミをつくる。