「お邪魔しまーす!」
いつものように直兄の家へ足を運ぶ。
「梨乃ちゃん、おはよう。毎朝ありがとね~。」
いつものようにおばさんがエプロン姿で出てきて
「おばさんっ、おはよー!」
いつものように挨拶を交わし
いつものように階段をのぼって、
いつものように直兄の部屋へ向かう。
そう、いつもと一緒。
そしてこのドアを開ければいつものように直兄が寝ている。
ただ、いつもと違うのは…
「……っ!」
直兄の襟元に赤い…汚れがついていること。
いつもと違うのは直兄の首元に赤い印が降っていること。
いつもと違うのは直兄からローズ系の女物の香水の匂いがすること。
昨夜、何があったかなんていくらお子様のあたしでもわかるよ。
見た目はお子様、考える事もお子様。
だけどいっちょ前に知識だけはついてるんだ。
「……バカみたい。」
あたしには関係ないのに…
本当バカみたい。

