AM7:51
痣まみれの顔を隠すように長い前髪。
衣替えはとっくに過ぎているのに半袖の少女。
道行く人は皆振り返って凝視する。
「………。」
他人にジロジロと見られて小さくなりながら狭い路地をコテコテと力無く歩く。
────パラリラパラリラ
「!」
この陽気な音に聞き覚えが───…
「ひゃーっ」
「うえーい」
朝から原チャを乗り回す昨日の不良たち。

“絶対見つかるな!!”

なぜか突然,テツがそう言った気がしてサッと路地裏に隠れた。
ハァ…と息をついてしゃがみ込むと背後に人の気配がして振り向く。
「!!!」
日焼けした肌に金髪────…テツ!!
「シッ…静かに。」
ドッドッドッドッ…
心臓が早鐘を打っている。
(あ…あれ…なんでこんなに……熱いんだろう………)
さっきまで寒さに震えていたのに,テツの顔を見た瞬間に身体中が火照ってきた。
「また会えると思ってなかった…」
そう言ってテツはニコッと笑った。
「…!!」
テツはカナミと同じようにしゃがみ込むと,不良たちの様子を伺った。
「なんで来たんだ!!」
テツが小声で悪態をつく。
「あれは…テツの仲間?」
「………うん。」
一瞬,迷ったがテツは認めた。
「………ふぅん…」
どうでもいいや,という風を装ってカナミは前にあったダンボール箱を見た。
「みー…」
か細い鳴き声が聞こえた。
「?」
テツが振り返る。
「猫…?」
「みー…」