煙草が大切なんじゃない。
その箱が大切なんだ。
煙草なんざ一本も入っていないその箱。
箱だった。
そしてもうひとつ,その中身。
それは死んだ母親の肩身のリングだった。
煙草の箱は矢井田さんがくれたもの。
その日,学校を飛び出して行くところも無く,家に帰る気も無く,フラッと高坂公園に行った。
俺はそこで矢井田さんに再び出会った。
ガキの頃よく遊んだ公園。
小学4年の頃に遡る。
俺は家にいるよりずっと楽しいあの公園が大好きだった。
そして,いつも誰もいない公園で1人ブランコに乗っていた。
優しい母親は,小学3年の頃に過労で死んでしまった。
今は再婚のケバい女が母親約。
親父曰く,仕事がスムーズに進む・・・らしい。
けど俺からすれば,どこか勝ち気な顔や態度,荒っぽい動作が好きになれない。
親父が気付いてるか知らないが,あの女は時々,夜中に忍び足で家を出ていく。
ケバい化粧して。
ギラギラのセンス悪りぃワンピ着て。
とにかく,俺は実の母親の肩身のリングを大切に持っていた。
その箱が大切なんだ。
煙草なんざ一本も入っていないその箱。
箱だった。
そしてもうひとつ,その中身。
それは死んだ母親の肩身のリングだった。
煙草の箱は矢井田さんがくれたもの。
その日,学校を飛び出して行くところも無く,家に帰る気も無く,フラッと高坂公園に行った。
俺はそこで矢井田さんに再び出会った。
ガキの頃よく遊んだ公園。
小学4年の頃に遡る。
俺は家にいるよりずっと楽しいあの公園が大好きだった。
そして,いつも誰もいない公園で1人ブランコに乗っていた。
優しい母親は,小学3年の頃に過労で死んでしまった。
今は再婚のケバい女が母親約。
親父曰く,仕事がスムーズに進む・・・らしい。
けど俺からすれば,どこか勝ち気な顔や態度,荒っぽい動作が好きになれない。
親父が気付いてるか知らないが,あの女は時々,夜中に忍び足で家を出ていく。
ケバい化粧して。
ギラギラのセンス悪りぃワンピ着て。
とにかく,俺は実の母親の肩身のリングを大切に持っていた。
