夜は長い。
乾燥した空気が夜の黒を切り裂く。

仔猫には寂しさ,絶望がまとわりつく。
愛されない孤独感は何で埋められるか。
明日は食べる物にありつけるだろうか。
明日は温かい寝床が見つかるだろうか。
明日は誰かに拾ってもらえるだろうか。
─────愛される夢を見て眠りたい。
もし目覚めなかったら…それでもいい。
誰かに愛される夢が見られたなら。


1人,夜空を仰ぎ見る。
冷たい空気は仔猫の毛並みを撫で,喉を過ぎる。
無色透明な空気にさえ存在感を感じるのは寂しさゆえなのか。

───星が見たい。

星は仔猫を自由にさせる。
不安を溶かし,仔猫を包み込む。
この世界に存在する絶望を中和させるかのような…青黒い空に光る白や橙色が綺麗だ。
明日,目覚めたら。
また夜まで生きて。
星を見よう・・・・・・。
仔猫は冷たい空気に逆らって歩き,寝床を探しに行く─────…。