第1章


「おトイレ、行こ!」



宏香のその一言で、
優香を含めた3人が動き出した。



優香は心の中でそっとため息をついた。



優香たちのグループは、
宏香中心に動いている。



暗黙のルールというものがあるのだろう。
宏香に逆らえば、もうそのグループには
入れてもらえない...



それを恐れて宏香には良い顔を見せる。



宮下優香。
丸く可愛い顔つきだが、
ファッションセンスがない小学6年生。



優香は頬にえくぼを作り、
元気に歩きだした。



「ごめんね!
 じゃあ待ってて!」



宏香はトイレに慌てて駆け込んだ。



別に、宏香が性格が悪いわけじゃない。



宿題忘れたら、快く見せてくれるし、
掃除当番だって、用事があったら
快く代わってくれるのだ。