「もぅ最悪っ!」


私は机に顔を隠す。


「最悪じゃないでしょ。ほら、授業するよ!」


大嫌いな女の先生が私に注意する。


「ふぉ~い」


適当に返事をすると、先生は黒板の前へと歩いて行く。


すると、たくとがこっそり言ってきた。


「な、そういえばさ、崎野と付き合ってるんだって?」


そういえば、言ってなかったな。


「なんで知ってるの?」


私は小声でたくとに聞く。


「桜井から聞いた。なんか、悔しがってたけど幸せになれるといいな~って言ってたぞ!やっぱ桜井いいやつだろ~?♪」


自慢そうにたくとは言った。


たくとは多分、今まであったことを知らないと思う。


・・・まあ、本当は優しい人ってのは、私だって知ってること。


「まあね。」


私は言った。


「でも、意外だよな~。桜井より崎野かあ」


たくとは不思議そうに言った。


「好きになっちゃったから、しょうがない」


私はまじめに授業を受けるふりをしてたくとに言った。