愛した名前



『俺はずっと前からさきのこと好きだったんだよ?中学校入って初めて試合に出た1年の時からずっと。』


え・・・?


私は下を向いてた顔を上にあげる。


1年生から?


ずっと?


私があきらの存在を知らない時から・・・私を好きだったの?





・・・知らなかった。


『なのにどうして、俺じゃないあいつを好きになんの?・・・なぁ、教えて・・・?俺、このままじゃ、すっげぇ悔しい。』


私は静かに口を開く。


「私はけいが好き。どのくらい私を好きでいてくれたとか、そういうの関係なくて・・・、けいがそばにいてくれると、凄く安心するの。けいじゃなきゃ、駄目なの・・・。」


私はそう言ってあきらの言葉を待つ。


自分勝手なのは、分かってる。


それでも、私にはけいじゃなきゃ駄目みたい・・・。


『俺のこと、好きって言ったじゃん・・・』


あきらがそっと言った。



「それは・・・ごめん・・・」


私がそう言うと電話のむこうであきらがため息をするのが聞こえた。


・・・。


『俺、諦めないし。』


「え、や、あきらっ『ぷつっ、ツー、ツー・・・



私が言い終わる前に電話を切られてしまった。


私はきられた携帯を見て深いため息をつく。

また・・・けいに何かするのかな・・・?


私のせいで、けいに迷惑かけちゃう・・・


困った~・・・。



私は携帯をしまってお手洗いをあとにする。