時間がどの位経ったかのか。まったく見当もつかなかったが、そんな事には興味はなく、ひたすら今までの消化しきれなかった睡眠時間を取り戻すべく、眠るだけだった。久しぶりに幸せな気分に浸かっていた時、おそらく寝返りをうったのだろう。僕は勢いよく寝台から転げ落ちてしまった。一瞬心臓フワッと浮いたような気がした。??いや、おかしい。部屋の床に落ちるはずの僕の体がいつまでも落下したままだ。一体何が僕の体に起こったのか。飛んで行った意識を急いで手繰り寄せ、一生懸命現状を理解しようとした。しかし、じきに地面に叩きつけられた。というよりその地面は生暖かく、ほどよく柔らかく僕の体を優しくキャッチした。あれだけ重たかった僕のまぶたはすっかり、羽が生えたように軽やかになってしまった。ひんむいた眼球であたりを見回すと、そこは薄暗い洞窟のようだった。どの位落下してしまったのっだろうか。上を見上げても到底よじ登ることは敵わない。しかしここはどこなのだろうか?ついさっきまでは、確かに自宅にいたはず。これは夢だ!としか自分を納得させるすべはなかった。とにかくこの洞窟らしき所から、一刻も早く脱出しなければ。先を見やるが一向に真っ暗で、出口は見えない。おもむろにスーツのポケットから携帯を取り出し、その明りを頼りに前へ進む。ひたすら前へ。