宿の入り口まで来ると、先生は手を離した。


「…案外こういう時って、誰にも見られてないもんだよな!」


先生はいたずらっぽく笑った。


「先生!嬉しいですけど、ハラハラしちゃいましたよ。」


小声で言うと、“そうだな!”って先生は笑いながら答えた。


ドキドキがしばらくは治まらなそう…。


また手繋いじゃった…。


私は先生が握ってくれた左手を見ていた。


「愛菜、良かったじゃん。」


千鶴は横でニヤニヤしている。


「あ!早く合唱部のところに行かないとっ!」


赤くなりそうな顔を千鶴に突っ込まれるのが恥ずかしくて、合唱部の生徒が集まっているところに向かった。