「それじゃあ、俺…そろそろ行くよ。」



「はい…。」


あと少しだけ……先生といたいよ…。


心の中でその言葉ばかりが飛び交っている。



時間…止まっちゃえばいいのにな…。





少しうつむいていた私の前髪に先生が、優しくキスをしてくれた。



「先生!?」


びっくりして、大きな声を出してしまった。




「愛菜、気を付けて帰れよ。月曜日にまた会おうな!」



にっこり微笑むと、先生は何度も振り返りながら桜並木を歩いて行く。



私は先生が振り返る度、笑顔で手を振った。


先生…ありがとう。


一緒にお花見出来て、楽しかったよ…。


先生の後ろ姿が見えなくなるまで、ずっと見送っていた。