「先生、どうしたんですか?」



「ん?最近、浮かない顔してたからさ。どうしたかなあ…と思って。今日、会議もあってゆっくり話せなかったし、なんか気になってさ…。」



先生すごいなあ…。私の心、全て見透しているんだね…。



「ちょっと進路のことで、色々と考えていたんです。」



私は、なかなか自分のやりたい事、将来どんな道に進んでみたいか描けていないことを伝えた。



「そうか…。俺も愛菜と同じ年の頃は、何がやりたいとか、どんなことが自分に向いてるかとか悩んでいたなあ…。」



先生も悩んでいたんだ…。
私と同じ…。



「でも焦っても逆に見失うことだってある。ゆっくりでいいと思うよ。他の人のペースじゃなくて、愛菜のペースでいいんだ。それに、大学に入ってから新しい自分に出会えるかもしれないよ。」





先生の低くて優しい声が胸を詰まらせる。



今日、学校で先生が言ってくれた“一緒に頑張ろうな”



その言葉が頭の中を駆け巡った。



先生のおかげで、悩んでいた気持ちは少しずつ元気へと変わっていく気がした。