「あのっ…先生…。」



「こら。“先生”じゃないだろ?」



もっと強く抱きしめながら優しい声で言った。



え〜っ!



ますますドキドキしちゃってるよ…。





「宏介…。」



名前を呼ぶと先生は手をはなして、くるっと私を先生の方に向けた。



「浴衣、似合ってる。可愛い…っていうよりも綺麗だな。」



「そ…そうですか?」



なんだか照れるなあ…。



「“女の子”というより“女性”だな。俺、すごくドキドキしてるよ…。」



そう言った先生の頬は少し赤くなっていた。



先生の赤くなった顔…可愛い。



ドキドキしてくれてるなんて、嬉しいな。



「宏介も似合ってるよ。男らしくてかっこいい!」



今日は先生も浴衣。



グレーの浴衣がとってもかっこいい。



先生の和服姿に思わずキュンとなっていた。 



普段じゃ、なかなか浴衣は見られないもんね。



「愛菜にそう言ってもらえると嬉しいよ。それじゃあ色々と見に行くか!花火まで時間あるし…。」



差し出された手に、私は静かに手をのせた。