「喜んでもらえるといいわね。そのお弁当を食べてくれる人…。」



玄関で靴を履いていた私の後ろからお母さんが優しく声をかけてくれた。



お母さんにも先生と付き合ってることは話してない。



でも、夏休みの朝からにこにこしながら、お弁当なんか作ってれば、誰か特別な人のために作ってるんだろうな…っていうのはバレバレだよね…。



お母さん、今は恥ずかしくて言いだせないけど、ちゃんと私…話すからね。



それまで、内緒でいさせてね…。



「お母さん、料理教えてくれてありがとう!それじゃあ行ってきます!」



自転車に飛び乗って先生がいる学校へ。



今日は、他にも楽しみなことがあるんだよなあ…。



夜…。



先生と一緒に夏祭りに行く約束してるんだよね…!



ワクワクしながら見上げた空はスッキリ晴れていて、自転車のペダルもいつもより早く漕いでいた。