遠出するの、久しぶりだなあ…。



最近は家族で旅行に行くなんてこともなくなったし…。



「…愛菜、何考えてる?」


先生がちらっとこちらを見たのでドキッとした。



「あっ…えーと、遠出するのが久しぶりだなって思ってたんです。」



「俺もだよ。かなり久しぶりだなあ…。久々の遠出が愛菜と一緒なのは嬉しいよ。」



ニコッと微笑む横顔。



運転する先生の横顔に見惚れてしまっていた。



日差しもより一層眩しくなってきた。



周りの景色も既に見慣れぬ風景が広がっている。



海ももうすぐ…かな…?



思わず身を乗り出してみた。



「愛菜。海が待ち遠しいのは分かるけど、危ないから深く座っててくれよな。」


ハンドルを片手で握りながら左手で優しく私の頭を撫でた。



「はいっ…すいません…。」



先生に私の考えていること分かられちゃってるよ…。


ちょっと恥ずかしさを感じながら、おとなしく座席に深く腰掛けた。