朝の車通りの少ない道を軽快に走っていく。



次々と目に映る景色はどこも輝いて見える。



「せ…じゃなくて、こ…宏介。今日はどこに行くの?」



どこへ行くかっていうのは先生にお任せしてあった。


なので、今日まで私は行き先を知らないままだった。


「海の方に行こうと思ってるよ。修学旅行の時のこと覚えてるか?」



「はい。もちろん覚えてます。」



旅行の話になった時、“いつか一緒に行くか?”って先生が言った時は、ドキッとしたなあ…。



「俺と愛菜が行けなかった沖縄の海の代わりに、今日は二人で海に行きたいなって思ってさ。まあ、沖縄の海には負けるかもしれないけど…。」



「そんなことないです。」


首を横に振った。



先生と行く場所なら、どんな場所でも素敵で、とっておきの場所になっちゃうよ。