ティルの言葉と同時にパチパチと手を打つ音が響いた。


「遥夢様、あなた様は正真正銘の騎士様だけの乙女。」


「は?」


急に掛けられたアルさんの言葉に驚く私の前に彼は跪き私の手を取ってその甲に唇を落とした。


「え…――あの…?」


アルさんの唇が触れた部分からビリビリと電流が広がっていく。


だけどそれは苦痛を与えるような強いものではなく甘い痺れ。


体が熱く、まるでマツに抱き締められているような安心感が体に広がった。


「あなた様をずっと待っていました。ティルと二人、ずっとずっと長い時をあなた様を待ち続けていました。」


体中に広がる甘い痺れに私の体はどんどん力が抜けていく。


床に崩れ落ちそうになる私を支えてくれるアル。

彼は私をその腕で支え、抱き締めた。


「浮気か?浮気なのか?バカヤロー。」


薄れいく記憶の中でティルの腹立たしい言葉を聞いて私はアルの腕から逃れようと体を捩った。


けれど、体に力が入らない。


浮気じゃないわよ!


ティルに言い返したいのに朦朧として言葉に出来なかった。


「暫く眠っていただきます。」


耳元でアルに囁かれ、アルの体から白い光が放出された。


目を閉じるほど眩しい光ではなくあたたかい光を目の端で捉えた。


「眠るのは嫌よ。アル?ねぇアル?」


私を抱き締めるアルの腕を掴んで口を開くと、


「遥夢様の側を離れません。
私はずっとあなた様を待っていたのです。」


アルはとても綺麗な笑みを浮かべて微笑むと彼の姿がどんどん薄くなっていくのがわかったんだ。

「消えないで!」


薄くなるアルが消えちゃいそうで怖い!!