「えっと…。
私は遥夢、あなたは妖精さん?」
言葉遣いは妖精っぽくないけどその小さくて羽を持つ姿は妖精に見える。
だから尋ねたんだ。
「お前は何も聞かされてないのか?バカヤロー。」
驚いたように目を見開いて話すその人?に私はコクリと頷く事で応えた。
「俺様は歌姫に仕える為に生まれた音を司る。
まぁ妖精みたいな者だ。お前が歌姫に相応しいかどうかを見極めに来た。バカヤロー。」
「歌姫?」
「騎士の心を慰める歌姫。その大役がお前に務まるかどうか俺様が見極めてやる。バカヤロー。」
「えっと…。
ティルトーアさん?」
「ティルでいい。バカヤロー。」
「じゃあ、ティルさん。マツのそばにいるために習得する事って歌なの?」
確かにデリーさんも言ってたけど、歌ってそんなに難しかったかなって思ってしまう。
ここでの歌は私の世界の歌とは違うのかしら…。
「まずは楽器を決めろ。と言っても俺様がここに来なければならなかった事を考えたらお前の楽器は決まっているようなものだ。バカヤロー。」
「楽器?」
「そうだ。バカヤロー。」
だけど楽器なんて私は扱えないよ…。
唯一私が扱える楽器はピアノ。
だけどピアノなんて店にもなかったし、この世界に来てから見たことがない。
「ピアノってないの?」
「なんだ?そのピアノと言うのは。バカヤロー。」
「私の世界にあった楽器なの。
ピアノなら少しは弾けるから…。」
「騎士殿はお前の、そのピアノというものを聞いた事があるのか?バカヤロー。」
「いいえ…。マツの前では弾いたことはないの。」
「では、ピアノがお前の楽器にはならない。
バカヤロー。」

