何が何だか本当にわからない。
だけど私もマツ同様に習得しなければいけないことがあると言われていたのを思い出した。
それが、ここに来た理由なのだろうか…。
マーケットで買い物をする間にスッカリ忘れていたデリーさんの言葉。
マツは訓練、そして私にも何か収得しなければいけない。
マツがこの世界の唯一無二の騎士として生きるために、今は離れお互いの責任を果たすことが私達のためにもなるんだよね?
「私は何を習得すればいいんですか?」
黒いドアの前にずっと私に視線を向けながら立っている男性に向かって声を掛けた。
「まずは部屋でお茶などいかがですか?
荷物を部屋に運び入れましょう。
その後でゆっくりとお茶を飲みながらお話をさせていただきます。」
その男性は私達が二人で抱えて持ってきた荷物を一人で難なく部屋に運び入れると私を手招いて部屋の中に入るように促した。
「すいません。
本当なら私が運ばなきゃいけないのに、なんだかポーっとしちゃって…。」
話を聞いたら全てがわかるって割り切った先から考え事を始める頭。
考えても話を聞かせてくれるから仕方ないとわかっているのに考えを巡らせてしまう。
悪循環だ…。
「そんなに緊張しないで下さい。
それに何も聞かされていないのです。
今のあなたの反応は間違っていませんよ。」
では少しお待ち下さいね、お茶の用意をしてきますって頭を下げて出て行く仕草もとても優雅で見惚れてしまうほど美しかった。
「マツもディアスさんも綺麗だけど、二人とは違う魅力的な人だな。」
思わず口についた言葉。
「浮気か?浮気するつもりか?コノヤロ―!」
誰もいない部屋に響く甲高い声に私の体はびくりと跳ね上がった。
「誰かいるの?」

