「いらっしゃい。
そろそろ来る頃だと思っていたよ。」


突然現れた男性。


とても綺麗な整った容姿の男性だった。


スラリとした背の高い男性で、だけどとても中性的な印象の人だった。


「今日は特別室に用がありますの。」


「はい。」


「案内して頂けますわね?」


「このお嬢さんなのですね。」


「そうですわ。
でもっ!!
他言は無用…わかっていますわね?」


「はい、承知しております。」


二人の会話が進む中、話題が私にも関係があるのだとわかって緊張が高まった。


「デリーさん…?」


不安になって話しかけると、


「ここで遥夢の楽器を購入するのですわ。
今日のお買い物のメインですの。」


ふわりと柔らかい笑みを浮かべて言葉を掛けられた。


買い物のメインが散々買った最後だということにも驚いたけど、私の楽器というのがとても心に引っかかった。


困惑する私の様子を見て、その男性は、


「デリー様、もしや…
何もお話されていないのですか?」


デリーさんに遠慮がちに話しかける。


「そうですわね。
買い物に夢中でスッカリ忘れていましたわ。」


わたくしとしたことがと言葉を続けて大きなため息を落とすデリーさんに男性は呆れた様子で同じようにため息を落とした。


「説明はあなたにお任せ致しますわ。
これからは暫く遥夢と二人で過ごすのですから、ゆっくりと時間を掛けて教えて差し上げて下さい。」