そして今――。
私は街の市場で買い物をしている。
世界は違っても市場の活気は同じで、可愛いテントのお店が所狭しと並んでいるマーケット。
スーパーでしか買い物をしたことがない私にはとても珍しい光景で、
「すごい活気ですね」
興奮してデリーさんに話しかけた。
「遥夢の世界ではお買い物はどんな感じなのですか?」
「こんな風に野外のマーケットは少ないです。
だけど、正直私は買い物をした経験があまりないので、わかりません。」
視線を地面に落として応える私にデリーさんはニッコリと笑みを浮かべて、
「では今日はたくさん買い物を致しましょう。
買い物は女性の特権ですのよ。」
言葉を言い終わるまでに私の手を強引に引き、マーケットに向かって足を進めた。
洋服、お菓子、化粧品にアクセサリー。
両手で持ちきれないほどの買い物に目を見開いたまま驚く私を半ば無視して買い物を続けるデリーさん。
人混みとマーケットの賑わいにどっぷり疲れた私を、
「ここで最後ですわ。」
そう言って店の扉に手を掛けたデリーさん。
今まで買い物をしていたテントの出店ではなく、重厚な扉を持つ一件のお店に入ろうとして足を進めた。
そのお店は看板もなく、外からでは何が売っているのかもわからない様子で、
「行きますわよ。」
デリーさんの言葉に促され、おずおずと彼女について扉をくぐれば、
「わぁ!」
見たこともないような楽器がたくさん並んでいて思わず声をあげてしまった。

