何が起きたのか一瞬わからなかった。


マツから離された私は知らない男の腕の中に収まっている。


膝に抱かれ背中は男の胸にピッタリとくっついた状態で私の体には男の腕でギュッと押さえられていたんだ。




「やめろ!ディアス。」



目の前のマツは怒ったような表情を浮かべて私に手を伸ばしたんだ。



「おっと、お嬢ちゃんは返せねぇよ。
お前が大事にしてるなら尚更な…」


ディアスと呼ばわれた男は伸びてきたマツの手をパシリッと払いのけて私を更にキツく抱きしめたんだ。




「放してっ!!」



体をよじって男の腕から逃れようと暴れても力の差がありすぎて私は腕の中から逃れることが出来なかった。



「じっとしてろ!面倒な女だな。」



「遥夢を放せ!!」