洗面所から出ると、着替えを済ませたマツさんが入れ替わるように顔を洗いに来た。


バシャバシャと水の弾ける音が響き、キュッと水道を止める。


「待ってることありませんわ。」


デリーさんは私に部屋に戻るように促すけど、マツさんを待っていたくて首を横に振った。


「仕方ありませんわね。」


困ったように眉を下げて言葉を掛けるデリーさん。


「私はお邪魔ですのね。」


クルリと方向を変えて部屋に足を進めるデリーに声を掛けようとして、


「キャッ。」


洗面所の扉から伸びてきた手に私は引っ張られ、扉を体がすり抜けると同時にマツさんの胸に抱き止められた。


「準備完了。」


私を抱き締めながらニコリと微笑むマツさん。


私の姿を舐め回すように見ている。


似合わないかな?

おかしいのかな?


マツさんの視線に緊張した私は落ち着きなく体のアチコチを触り、髪も撫でつけたりと手が終始忙しく動いていた。


「遥夢はなんでいっつもピンクなんだ?」


だけどマツさんの言葉は私の予想とは違っていて、


「ピンクは嫌いなんですか?」


私もきちんと質問に応えられなかった。