数日間、俺は遥夢と二人だけで温室の中で過ごした。
竜一は俺を信用したのか、それとも俺を泳がせて尻尾を掴もうと企んでいるのかわからないが顔を見せなかった。
ベッドの上だけが自分の世界だと言い放つ俺に遥夢は冷たい視線を向ける。
「もういい加減体を動かしたい。」
「動けてるじゃねぇか。」
「逃げたりしないわ。」
「逃げれねぇの間違いだろ?」
「そうね。」
「一日目よりは数段動くようになってるだろ?」
「それは言わない約束でしょう?」
俺を睨みつけながらも頬を赤く染める遥夢。
力を加減したつもりが結構きいていたらしく、歩くこともままならない遥夢を介護したのは俺だった。
「お前のトイレに付き合ってやった恩人に向かって睨みをきかすなんていい根性してるじゃねぇか。」
ククッと喉を鳴らして笑ってやると遥夢は恥ずかしさに耳まで真っ赤にして俯く。
「風呂も彰人にされたように抱いて連れて行ってやったよな?」
「………。」
「彰人にも丁寧に体を洗ってもらったんだろ?」
「ち、違ッ!」
「それに俺はお前の恋人だったんだ。お前の体は隅々まで知っている。」
恥ずかしがる事なんてねぇよって追い討ちをかけてやると遥夢はもう何も言えなくなった。

