温室を出た後も庭の片隅からこちらの様子をジッと見ている竜一の姿が目に入った。
まだ俺を完全には信用していないのか?
遥夢を安心させてやりたい。
腕の中に閉じ込めて真実を告げたい。
瞳を揺らしながら俺を見つめる遥夢。
だけど、まだ何も話せないんだ。
彰人の無実を証明するまでは俺は竜一のそばで奴に信頼されなければならないんだ。
「勘違いするなよ。
お前と一緒に過ごしたマツが偽物なんだ。
本当のマツはお前の目の前にいるだろう?」
冷たく言い放つ俺に涙を浮かべながら遥夢に問いかけられた。
「彰人さんは?
彰人さんとは友達じゃなかったの?」
「彰人は利用価値のある人間だった。」
俺を恨まないで欲しい。
俺から離れないで欲しい。
心の中は苦しく、けれど表情はきっと冷たく氷のように崩せない。
全てが終わったら遥夢が俺を嫌っていても決して放さない。
遥夢は俺が攫って逃げる。
それまでは俺は憎まれ役に徹しなければならないんだ。

