「操作は全て終わった。」


竜一に組み敷かれ抵抗しない遥夢を助けたかった。


でも迂闊には動けない。

機械の中の映像の消去を迅速に終わらせて竜一に声を掛けた。


遥夢の首筋に竜一の舌が這っている光景を目にして爆発しそうな感情を押し殺した。


努めて冷静に振る舞う。

そうしなければ俺の計画に狂いが出てしまう。


触れさせたくない。


遥夢に触れることが出来るのは俺だけだ。


けれど、その気持ちを表に出すわけにはいかない。


「竜一、放れなさい。」

低く唸るような遥夢の声。


人形のような昔の遥夢が意志を取り戻した。


「すぐに温室を出て行きなさい。」


わなわなと体を震わせる竜一。


やっと状況に頭がついてきたのだろう。


「てめぇ、誰に向かって口きいてるんだ!」


「竜一に決まってるじゃない。」


「お前は俺の妻だろ?
おとなしく俺に従っていれば可愛がってやるつもりだったのにな。」


ニヤリと笑みを浮かべる竜一をグッと睨みつける遥夢。


遥夢が遥夢として旦那様や彰人を想う気持ちを取り戻したのならば心配はない。


俺は心の中で安堵の息を漏らす。